虚偽表示は当事者間では無効であるが、
善意の第三者に無効を対抗することができない
第三者とは
虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者で、その表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者
※177条(物権変動)の第三者とは言葉が違いますね
同じようなもんだと思ってた(^^;)
第三者にあたる者
Aさんの土地を仮装売買した
Aさん→売り主(仮装譲渡人) Bさん→買い主(仮装譲受人)
買受人(譲受人)
Bさんが、Cさんに転売してた(譲渡してた)
AさんはCさんが善意であれば土地の返還を求めれない
ノーマルな善意の第三者
悪意の転得者
CさんがさらにEさんに土地を売った、しかしEさんは虚偽表示を知ってた
B→C(善意)→E(悪意)
善意の第三者から仮装譲渡物を取得した転得者は悪意であっても第三者に該当する
Eさんは知ってはいたが、当事者2人(A・B)と取引したわけではない。
あくまでもCとの取引で土地を取得したわけで、これって普通の取引でしかない。
(Cから善意という身分を引き継いだ人という考え)
※Cさんも悪意だったのなら、当然Eさんもアウト
★Cさんが悪意で、Eさんが善意の場合(逆パターン)
B→C(悪意)→E(善意)
AさんはEさんには土地の返還を求めれない
あくまでもEさんは善意なんで。
悪意の第三者からであっても仮装譲渡物を取得した転得者が善意なら第三者に該当する
差押債権者
BさんはCさんに借金をしてました、そしてCさんが土地を差し押さえました
AさんはCさんが善意であれば土地の返還を求めれない
仮装譲渡物を差押えた仮装譲受人の債権者は第三者に該当する
※Cさんは差し押えてないのなら、その土地にとって一般債権者(ただの人)でしかないので第三者には該当しない、Aさんは対抗できる
★仮装譲渡人→Aさんの債権者の場合なら
Aさんにお金を貸してるDさんがいました、DさんがBさんに土地の返還請求をすることは可能
この場合は差し押さえをしてない一般債権者ですが、土地について利害関係を有するので対抗できません。(というかこの人から逃げるためだったかも)
※ただもしもBさんから善意の第三者に転売されていたら、虚偽表示の無効の主張はやっぱり対抗できないので返還請求はできない
※Dさんは悪意であってもOK
抵当権者
BさんがCさんのために土地に抵当権を設定した
AさんはCさんが善意であれば売買の無効を対抗できない
仮装譲渡された不動産上に抵当権を取得した者は第三者に該当する
Aさんは抵当権の設定に文句は言えません
仮装抵当権者からの転抵当権者
Cさんの抵当権、実はBさんと通謀してた!
嘘をつく人は、また嘘をつくんですよ…
ところがCさん、なんとⅩさんに転抵当しちゃった
何も知らないⅩさんは転抵当権者としてAさんは受け入れるしかない。
仮装抵当権者からの転抵当権者は第三者に該当します
仮装債権の譲受人
Aさんは嘘とはいえ仮装売買の売却債権を有してます
そして嘘をつく人は、また嘘をつきます!
あろうことか実在しない売却債権をDさんへの借金返済に充てました
当然Dさんは売却債権の債務者であるBさんに請求します
BさんはDさんが善意であれば売買の無効を対抗できない
仮装債権の譲受人は第三者に該当する
Dさんにとっては実在していますから(Aさんは借金逃れてますし)
その債権の発生原因が嘘だったなんて言えません。
第三者にあたらない者
後順位抵当権者
Aさんの土地の第1順位の抵当権者のBさんがいました
第2順位のCさんもいます
この場合にBさんが抵当権を仮装放棄しても
後順位のCさんは第三者には該当しませんので第2順位のままです。
どうして仮装放棄をしたかはともかく実際は先順位の抵当権は存在しますから。
建物賃借人
Aさんの土地を仮装売買した
Aさん→売り主(仮装譲渡人) Bさん→買い主(仮装譲受人)
Bさんが土地の上に建物を建てFさんが借りて住んでます
この場合Aさんは売買の無効を主張してFさんに「出ていけ!」と言えます
仮装譲渡の土地の上の建物の賃借人は第三者には該当しません
土地については利害関係がないから、だそうです。
ちょっとかわいそうですけどね。
Bさんには「返して」と言えるけど、Cさんに言えないというのもちょっと変だからなんでしょうか(-ω-;)ウーン
仮装譲渡された債権の債務者
AさんはYさんにお金を貸してます
Aさんは貸金債権をZに仮装譲渡しました
ZさんはYさんに請求に行きます
この場合、Yさんは第三者には該当しません
債務者であるYさんは仮装譲渡の前から債務者です、もともと債務者です。
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