この行為は詐害行為に当たるのかどうか?
そんなことは過去問を回してればそのうち分かるようになります。
でも「詐害行為取消権」なんです、ここは。
取消しだってなんとなくどうなるかは分かりますよね。
でもそれは「詐害行為」と「取消権」であって「詐害行為取消権」としては理解してなかった。
現実に起きたとして、それで何が出来るのかは全く見えてなかった…
「で、それ何?それで何ができるん?」と聞かれたときに説明できなければダメなんです。
そう気づいたのは8月の終わりでした。
ガツンと殴られたような衝撃が走りましたね( ;∀;)
この試験は。。
そこまで求めてないような顔して、それを求めてる。
だから記述式問題があるんでしょうね。
詐害行為取消請求
424条1項
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(受益者)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
債権者は自分の債権を守るために、債務者がした詐害行為を取り消してくれ!と裁判所に請求することが出来るんです。
要件はいっぱいありますけど、とりあえずはそんなことが出来ると。
大事なのは裁判上で権利を行使するということ。
(債権者代位権は裁判外でもOKでした)
あとは、多分この条文の言い回しが悪意の立証責任と絡むんでしょう?
◉債務者の悪意の立証責任は債権者にある
債権者が「こいつ、やったな」と気づかないと成り立ちませんもんね。この話。
だから立証せざるを得ないわけですね。
◉受益者の悪意の立証責任は受益者本人にある
債権者を害することを知らなかったとき、とあるこの条文の文言。
なんとなく受益者視点なような気はします。
聞いてみて答えた結果のような印象は受けますね。
「うん、実は知ってた」と答えたなら悪意、という感じです。
だから受益者本人に立証責任があるということなんでしょうか?
ここだけなんですよね。
立証責任が債権者に無いの...(-ω-;)ウーン
行使要件
❶債権者を害する行為である
大前提ですけど、まずはこれ。
ここが大体は問題になる部分ですけどね(^^;)
わかりやすい例だと無資力になること自体も詐害行為ですってば。
債権者に100万の借金あるのに、返さず受益者に100万の時計を売ったとか。
それで財産なくなったなら、債権者を害します。
※財産処分時に無資力となっても、その後資力が回復したら詐害行為取消権は行使できない
❷財産権を目的とした行為
債権の保全が目的なので財産の売却などが対象となる
相続の放棄、離婚による財産分与などの身分行為は対象にならない
❸被保全債権が詐害行為の前に発生してること
お金を貸す前のことについては何も言えませんよ。
それはあなたが債権者になる前のことでしょう、と笑われますって。
❹被保全債権が強制執行により実現できる
こちらもあくまで債権の保全が目的なので、強制でも何でも行動したら目的達成できる債権じゃないと詐害行為取消権は使えません。
使っても意味ない債権なら必要ないでしょ、そんな権利。
❺債務者、受益者、転得者の悪意
関係ある人全て(財産が流れた先の人たち)が債権者を害する行為であると知ってることが必要
詐害行為取消権の行使方法
債権者が自己の名で裁判上で詐害行為取消権を行使しなければならない。
実際に何をするかというと、
債務者がした詐害行為を取消し、それとともに財産の返還を請求する
※財産の返還が困難なら価額の償還を請求する
取り消せる範囲は、自己の債権額の限度まで
(不動産のような不可分なものは全部についてOK)
金銭、動産なら、直接自己に引渡しを求めれる
期間の制限
★債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年
★行為の時から10年
裁判上の行為です。
被告となるのは受益者(転得者)です。
行為を取り消すだけではないので、返還請求までなので債務者相手ではないんですよね。
ですから詐害行為取消請求の訴えを提起したなら、遅滞なく、債務者に訴訟告知しないといけません。
認容判決の効力の範囲
425条
詐害取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
債務者はした行為が取り消されますんで、まぁ分かります。
問題は「その全ての債権者」って部分です。
取消請求をした債権者だけではなく、債務者の全ての債権者にまで及ぶから(^▽^;)
別に自分の為にしただけなのにね...
全ての債権者のための引当財産になるのだそう。
優先弁済は受けれないんですよ、取り消したのに。変なの。
どうなるんですかね...奪い合いになるのかな😥
★受益者の反対給付は?
受益者は財産を取得するにあたり、何かしらの給付をしてるはずです。
時計を売った、つまり買ったわけで、100万払ってる。
そのお金は?
売買行為を取り消されるので当然返還請求できます。
★受益者の債権の回復
もしも債権者ではなく、別の債権者であった受益者と詐害行為により借金返済した場合
それで詐害行為取消請求され認容判決。
債務者の受益者との行為は取り消され、受益者はお金を返さないといけない。
でもじゃあ返済されたはずの借金は?
受益者が返還したときは、原状回復し、また債務者への債権は復活します。
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