【民法】先取特権

担保物権はハードです

抵当権なんて超大物がいるのに

留置権も質権も先取特権も小物ではなかったから大変です

なかでも先取特権は地味にしんどいです


会社が倒産して従業員さんに給料の未払いがある

こんな時に残ってるお金でよその借金返すより

まず先に未払いの給料を返しましょう

そんな「れる別な利」だから

先取特権というらしいです

法律上当然に発生する法定担保物権なんです

そうじゃないと働いてた人たち可哀想ですもんね

ここまでのイメージは良し!

これで終わってくれれば良かったのに

細かいんです💦

どこから取るのか、取れるのか、取れないのか

これよりあれのほうが先に取れるなんて優先順位なんかもあったりして

ややこしい(>人<;)

不動産の先取特権

不動産から生じた債権を持ってる人は

債務者の特定の不動産について先取特権があります
(債務者の持ち物でないとダメですね)

土地からの先取特権を持ってる人は土地売却代金から取れるけど
建物の売却代金からは取れないよ!って感じですかね


優先順位 (保存>工事>売買)

❶不動産の保存の先取特権
 ↪保存のために要した費用を出した人、登記費用とか

❷不動産の工事の先取特権
 ↪設計や施工・管理費用を出した人、リフォーム代とかかな

❸不動産の売買の先取特権
 ↪売った代金まだ全部もらえてない人かな


そして不動産の先取特権については登記が必要です

①保存は、保存行為が完了したあと直ちに

②工事は、工事を始める前に予算額を

③売買は、契約時に代価または利息が弁済されてない旨を

登記しないと先取特権の効力はないです


そして登記した①保存と②工事の先取特権は

既存の抵当権より優先します!強いです!
(不動産売買の先取特権と抵当権は登記の先後による)

理由は保存も工事もその不動産の価値を増加させる行為だから
抵当権者にとっても得✨だからです


327条2項
前項(不動産工事)の先取特権は、工事によって生じた不動産の価格の増加が現存する場合に限り、その増加額についてのみ存在する。


壁紙を新しく綺麗にしたのに、
こどものやんちゃで、
跡形もなくきれいさっぱりなくなってたら
まだ代金もらえてなくとも業者さんに先取特権はないのです😢

動産の先取特権

動産から生じた債権にも先取特権はあります

こちらも債務者の特定の動産を目的とします

あと債務者の、ですからほかの人の物からは取れません


優先順位 (不動産の賃貸>保存>売買)

不動産の賃貸の先取特権
 ↪大家さんが家賃とか滞納されたときに部屋を借りてる人が他にも借金してて
 持ってるパソコンを誰かに売ったそのお金をほかの人より先に取れる感じ

❷動産の保存の先取特権(複数人いるなら後の人が優先)
 ↪電子レンジの修理した電気屋さんが持てそうな感じ

❸動産の売買の先取特権
 ↪売買に関係してる感じだったら

※1位の人が債権取得時に2位や3位の人が居ることを知ってたら
 自分の方が上だ!先だ!って言えません


動産のがね…厄介なんだな。

①不動産の賃貸の先取特権なんですけど、

これ即時取得の規定が準用されるんですね

この意味が初め全然わからなくてね~

何言ってるんだ?とひとしきり悩みましたね(⊙_⊙;)

即時取得の準用の謎

即時取得・・・無権利者との取引行為で平穏かつ公然と動産の占有を始めた者が
       善意・無過失なら即時にその動産の所有権を取得する

売り主が自分のものではない時計を売って
それを買った人が、その人のものではないということを知らなかったら
もうその時計は買って使ってる人の物だよ。


(ふつうは買うときにホントにこの人の物なの?なんて疑いませんけどね)

これがなにゆえに先取特権と関係するのか?


大家さんは学生さんにアパートの部屋を貸してます

ずいぶんと長いこと家賃をもらってません

家財道具を売り払ってもらい回収したいところです

まず学生さんの私物には先取特権は成立してます

しかし実は部屋の中には友人から借りてるテレビがあったのです

ふつうはそのテレビは売れませんよね

学生さん的にも売れるリストの対象外なはず

ところが大家さんがそんなこと知らず

「これ売ったらお金できるじゃない!」

と思ってしまったとしたらどうなるでしょう?って時に出てくるんです

自分が貸してる部屋にあったテレビは、その部屋を借りてる学生さんのものだ
特になんの疑いもなくふつうは思いませんか?

何かに似ていますね、この流れ、ここです。

この場合、大家さんのために即時取得の準用により先取特権が成立するんです。

いやこれもうびっくりですねwww

さらに大家さん(賃貸人)には特別な保護もあり

なんと又貸しした先にも先取特権は及ぶんですよ!

これはですね、また別のことが絡んでます

引き渡される前に・・・

333条
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。


担保物権ですから、その物がなかったら使えません

ここと絡んでくるんです

又貸し(転貸)→借りてる人がさらに誰かに貸した場合

学生さんの例えより

オフィスなんかの椅子や机とかが分かりやすいかも

ご飯食べるお店でもいいかもしれませんね

賃借人のものをそのまま置いといてさらに貸す感じ

この場合だと転借人に引き渡されてるから

先取特権は行使できなくなるわけです

それはあんまりだということで(実際にはまだ賃借人のものですし)

賃貸人の特別の保護があるんでしょう
(転借人のものにも即時取得の準用が及ぶのですよ!)


ですが原則はあくまで引き渡されたらアウトです

学生さんと大家さんの話に戻ると

私物である洗濯機を学生さんが友達に売って引き渡してたら

いくら学生の私物だったとしても先取特権は使えないです

権利は持ってたんですけどね…


この場合の売却代金はどうなるのか

先取特権には物上代位性がありますので(売却代金債権を)
学生さんに渡される前に差し押さえれば大家さんは無事回収です

一般の先取特権

こちらは債務者の総財産について先取特権を有します

総財産つまり全部からですが

まずは不動産以外の財産から弁済を受けます

現金などすぐ払えるもの、分けれるものからってことですね


優先順位 (❶>❷>❸>❹)

共益の費用

雇用関係

葬式の費用

日用品の供給


不動産の先取特権と動産の先取特権は「特別の先取特権」といい

一般の先取特権に優先します(特別>一般)

しかし一般の先取特権のうち

共益の費用は、その利益を受けたすべての債権者に対して優先します

つまり最強です

みんなのためにお金を出した人は大事にしましょう(^▽^)/

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