時効により取得した権利は、承継取得ではなく原始取得である。
誰かから引き継いだわけではなく、全く新しい権利を手に入れるわけか。
時効取得とは
所有の意思をもって、平穏にかつ公然と、他人の物を占有する。
善意かつ無過失なら10年間の継続占有
悪意または有過失なら20年間の継続占有
この要件を満たせば、所有権を取得する。
同じく所有権以外の他の財産権も時効で取得できる。
善意、平穏、公然は推定されるから、善意の人は過失がなかったことだけ立証すればいいのだろうか..
★占有の承継
自分だけの年数で足りないなら、前占有者の年数と合わせて占有期間を主張できる。
自分だけで時効完成させれるなら、わざわざそんなことをしなくてもいい。
占有者の善意や過失の有無は占有開始時で判断されるのだから
上手く計算しよう。
前の人と併せて主張するなら、占有開始時の瑕疵(悪意など)も引き継ぐから気をつけないといけない。
善意・無過失であり10年占有している→OK
善意・無過失で5年占有(5年足りない)、前の占有者は善意・無過失で8年占有していた→善意・無過失を継ぎ、併せて13年→OK(併せて良かった)
善意・無過失で5年占有、前の占有者は悪意で8年占有していた
↪悪意を引き継ぎ、併せて13年→NO(結局ダメ)
悪意で5年占有(15年足りない)、前占有者は悪意で15年占有
↪悪意で20年となる→OK(併せて良かった)
悪意で5年占有、前の占有者は善意で7年占有
↪善意を引き継ぎ、併せて12年→OK(むしろ併せるべき)
悪意で5年占有、前の占有者は善意・無過失で3年占有
↪善意を引き継ぐが、8年→NO(惜しい)
占有開始時は善意・無過失だったが、後に悪意となり10年→OK
占有開始時は悪意で、後に善意となり10年→NO
(でもそんなことってある?)
時効の効力は、起算点にさかのぼる。
10年経ったから、今から自分の物!になるのではなく
10年前からずっと自分の物だったことになる。
時効は援用しないといけない
時効が完成したから「自分の物だ!」と意思表示
取得時効の場合は、当事者(占有者)ならできる。
自分の物だと信じ、使い続けてれば、気づけばホントに自分の物だったことになるのかも。
時効取得と登記
時効完成前の第三者→登記なくして対抗できる
時効完成後の第三者→先に登記を備えた者が所有権者
※時効完成後の第三者に先に登記をされた場合でも、さらに再度、時効完成までの期間をまた占有継続したのなら、登記なくして対抗できる。
(この時だともう第三者ではないから)
※勝手に起算点は変えれません!
自分が登記がまだだからって、完成後の第三者を、完成前の第三者にしようなんて「ずる」はできません。
時効の利益の放棄
時効の利益は、時効完成前には放棄することができない。
「放棄しろや!お前の物になるやろが!」と放棄を強要されたら大変ですからね💦
時効が完成した後なら、その人の勝手なので放棄してもいい。
おまけ
❶土地の賃借権は、土地の継続的な用益という外形上事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときに、時効取得することができる。
❷地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
❸債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅する。
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